僕が菜食をやめた理由 ⑫

neem

2015年03月16日 18:28

僕が菜食をやめた理由 ⑫

命を感じられるような機会が現代社会では
大きく減ってしまいました。
昔は家庭で鶏を締めて食べるとか、
田舎であれば罠にかかった猪を解体して
食べるというのはごく当たりの光景で誰も疑問に
思わなかったと思います。

今はスーパーで並ぶお肉のほとんどは
遺伝子組み換え穀物で育てられ、ホルモン剤、
抗生物質を投与され、狭いケージの中で
ストレスフルに育てられたものが多いです。

ぎゅうぎゅう詰めにされ、
羽が抜けて見窄らしい姿になった鶏達を見て
本当にこれでいいのだろうかと思うのはごく自然な感情でり、
菜食主義に感化されるのもある意味当然かとも思います。
僕もそうでした。

ただ、僕が経験した東ティモールやカレン村では
そう思う事もないと思います。
生きていくのに必要な事ですし、
ごく自然な光景に見えると思います。

結局のところ、問題の根っこは
生きる手段を人任せにしすぎた故に出来あがった
大量生産、大量消費社会にあります。

それで経済が回っているとしても、
このサイクルに未来が無い事は明らかです。
どこまでいっても競争が発生し、利権を独占する人々が現れ、
自然の循環を無視した結果に行き着くだけです。

肉を食べるか、食べないかで論議するよりも、
まずは個人が少しでも消費活動から抜けて生産してみるとか、
できるだけ小さな地域で食べ物を循環させる事の方が
全ての人の未来にとって有益な方向に向かっていけると思います。

地域で自給自足が可能な食が、持続可能を実現できるのでは
ないでしょうか。何よりそうする事によって、命に接する機会が増えます。
必然的に、循環の中で生きている事を、
またそれを壊してはいけない事を肌で感じられます。
(輸入食品に頼る一部のベジタリアンフードは、この点においても
やはり疑問があります。)

ただすでに大規模生産が出来上がっている世界なので、
食品業界へ、自然を壊さずに健康に生きられる食の生産を
求めていく事もまた大事だと思います。

どんな食糧生産の在り方が良いのでしょう?
日本では生涯で2人や3人に1人が癌を患うとも言われ、
糖尿病は予備軍を含めると2000万人を超えます。
虫歯になるのは全人口の実に9割以上という現状です。
(虫歯の原因は歯磨き不足ではないです。)

心疾患、高血圧、肥満、アレルギー、アトピー、
もはや当たり前のように人々がかかる病気です。
鬱病と診断される人は数知れず、年間自殺者の
本当の数は10万人を超えると言われます。

僕も親しい友達を、不眠症からの睡眠薬とアルコールの摂取で亡くしました。

コメント欄にたくさんの意見を頂いたように、
「バランスの良い食事」を心がけている人が、
とりわけ日本においては大多数だと思います。
貧しい国と違い、僕らは食べ物を選ぶ事が出来ます。

なのにどうして、病気になる人は増え続けるのでしょうか?
食べ物が体を作っている以上、
そこに原因があるのは明らかです。

まずは添加物や農薬、家畜や養殖魚へのホルモン剤や抗生物質が病気の一因に
なっていると思います。そこに皆でなるべく自然な形での
畜産や農業を生産者さん達に求め、積極的に購入していく事が必要です。
ここに肉食と菜食の間の議論は不要です。

そして限りある資源の中で、本当に必要な食べ物を作っていく
必要があるんじゃないかなぁと、思ってます。

日本人が毎日食べる真っ白に精製したお米って、
本当に必要なのでしょうか。
栄養はほとんど糖質しか含まれません。
当たり前に食べている物の中で、体と心にダメージを
与えているものは沢山あります。

持続可能な生活を目指してパーマカルチャーを実践する
コミュニティーではベジタリアンが多いため、
またベジタリアンに近い食事が健康的だと信じられている為に
大量の野菜と果物、穀物を栽培しますが、
健康面から考えるとそれだけでは持続可能ではありません。
もっと家畜を育てても良いのになって思います。

日本でも、また世界でも大量の穀物が育てられています。
誤解なきように書きますが、僕は穀物不要論者ではありません。
将来的に、古代米や雑穀を自分で育てて食べたいと思っています。
出来るだけ自分で食糧を作りたいからです。
保存の効く穀物は貯蔵できるエネルギーとして優れています。

ただあまり体を動かさなくなった現代人にとって、
現状の穀物消費量は多すぎて、糖質過剰摂取が病気の一因になっています。
(とりわけ過剰に精白する事に問題があるので 食べ方を考える事も重要です。)
同じ植物を育てるにしても、もっと人に必要な栄養を考えて
生産が行われても良いんじゃないかと考えます。

何より無駄だと思うのはサトウキビ生産です。
米や小麦を凌ぎ、10億トンを超える世界最大の生産量を占める農産物です。
ミネラルとビタミンを体から奪い免疫力を低下させ、
過剰なインスリン分泌を招き問題を起こす砂糖は
摂取するメリットよりもデメリットの方が遥かに大きく、
人類が生命と健康を維持するのに全く不要です。
多くの病気の原因、または病気が治らない原因になっています。
さらには土地を痩せさせてしまいます。

これが世界最大の農産物です。
その土地とエネルギーがもっと必要な物に変わるだけでも、
どれだけ世界は良くなるでしょうか。

砂糖は当たり前に日常に入り込みすぎて、
その危険性を認識できない人が多いと思います。
精製穀物も同様です。

ただ頭から常識を外して、勉強してみれば、
そして実体感してみれば分かることなんです。
どんな問題でも一緒ですが、可能な限り正しい知識を求め
間違いをきちんと認識しなければ、根本的な問題解決は見込めません。

僕は、今まで情熱を注ぎ込んで来た
自分の菜食料理が栄養学的に間違っていることを、
歴史的にも、論理的にも、実体感としても
間違っている、そして健康にはなれない事を認識しました。

全てを改めた今の方がずっと幸せです。
間違った知識をいくら使っても、何も解決しなかったからです。
他人まで不幸にしてしまうケースもあります・・・

今までの自分の仕事の責任として、
また同じように出口のない迷路を彷徨っている人が
沢山いると思い、今回の記事を書いてきました。

もっと書きたい事、伝えたい事はあるのですが、
一度ここでお終いにします。

たくさんの批判を頂き後半から少し悩んでしまいましたが、
応援や、どうして体調が良くならないのか分かった、
すぐに食生活に知識を取り入れて体調が良くなったという
お便りもたくさん頂きました。

健康だけでなく環境視点であっても、
知恵を出して実行していけば今の地球の人口を賄い、
もっと健康でいられる食糧生産は可能なのではと思っています。

まだ決まったわけではないですが
書籍化のお話も頂いているので、
続きは本で書けたらいいな、、、と思っています。

長い連載を読んでいただき有難うございました。
文章力や人間的にも未熟なので、至らない点があり
不快な思いをした方もいた事と思います。ごめんなさい。
それでも伝えたい事があったので書き続けました。

自分の書いた事が全て正しいだなんて思っていませんし、
僕自身もこれを機にもっともっと勉強していこうと思っています。

何をそんなに、たかが食べ物をコン詰めて考えて・・・
という意見も頂きましたが、僕は考える事を止めません。

だって、「人が何を食べるかで世界は変わる」のですから。





「人も地球もハッピーに」という理想にできるだけ近い食を
提案したくて「しあわせごはんとおやつ neem」という名前で
菜食のお弁当販売をしてきました。

菜食をやめ、食べるものは変わりましたが、
根底にある想いは変わっていません。

他にやりたい事が出来たので料理の仕事はお休みしますが、
今後は違う形で、引き続き皆様の幸せと笑顔を作る仕事が
できたらと思っています。


それでは、またどこかでお会いしましょう。






追記 : 頂いた感想メールやコメントを元に、
何か投稿しようかなと思っています。
宜しければまた感想などお待ちしています!

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